2012年4月19日木曜日

00年代日本のインディーゲームベスト10

  • Cresteaju 2001
  • 東方紅魔郷 2002
  • X operations 2003
  • 洞窟物語 2004
  • ゆめにっき2004
  • スグリ 2005
  • Elona 2006
  • Hellsinker. 2007
  • Ruina 2009
  • ヴァンガードプリンセス 2009

総評

日本では未だ「インディーゲーム」という言葉はほとんど根付いていない。同様に「同人ゲーム」という言葉も一般的とは言い難いし、それ相応のニュアンスや含みも強い。他方、ここで上げたゲームには「フリーソフト」や「フリーゲーム」として名をなしたものも多い。 

これらのジャンルや概念の混在に多少の居心地の悪さを感じないわけではない。例えば「同人ゲーム」という言葉には
  1. 二次創作が中心
  2. 発表の場所がコミックマーケットなどの同人即売会や同人ショップが中心
  3. オープンプラットホームというより内輪
というような含意があるだろう。それらは部分的には正しいが、部分的には間違っている。またフリーゲームやフリーソフトという言葉は当然、無料であることが強く含意され、海外のインディーゲームが描く外延と一致しない。

このような概念の混在は、日本のインディペンデントなゲーム文化が異なるプラットホームに分断されていることに起因する。もちろん、これらのゲームはすべてWindowsのPCで動くわけだが、その末端のデバイスが単一であるにもかかわらず流通プラットホームはバラバラだ。同人ゲームは上述したように同人誌即売会や同人ショップで流通し、フリーソフトないしフリーゲームはベクターや窓の社といったソフトウェアダウンロードサービスを通じて流通している。

さらにフリーゲームと同人ゲームに対して行われる批評も分断されている。フリーゲームのレビューサイトはすでにかなりの数があり、それらはインターネットを中心として回っている。同人ゲームを紹介したり批評する同人誌もすでにある程度、存在するが、それらは主に即売会や同人ショップを通して流通する。つまり、これらのゲームは遊ぶ端末が一緒であるにも関わらず、文化としては隔たりがあるように思えるのだ。

もちろん、そんな隔たりは徐々に切り崩されているとも言える。特に『洞窟物語』に限っては、MacOSは当然のこと、すでにコンシューマ機にさえ移植されている。その点で、開発室Pixelが日本のインディーゲームのもっとも重要なデベロッパーであることは確かだ。さらに『ヴァンガードプリンセス』のスゲノトモアキ氏はフリーゲームとしてタイトルをリリースしながらも、設定資料集を即売会や同人ショップで販売している。

これらの動向がどう展開するかどうかは未だ不明確だ。しかしながら、iOSやAndroid、XBLA、Steamといったゲーミングプラットフォームの成立が2010年代の日本のインディーゲームに与える影響は大きいだろう。開発室PixelはすでにiOSに向けてミニゲームをリリースして、その後も開発している。Steamで販売を開始した同人ゲーム「サークル」は既に存在する。ドームの中で育ってきた異なる生態系のフリーゲームと同人ゲームという文化が今後も同様に存続するかどうかわからないし、「インディーゲーム」といった名で呼称されるグローバルな動きにつながる可能性もないわけではない。